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さて、キャスティングリールのスプールは軽いに越したことがないので、下巻きをする場合はPEの太糸を巻くようにしています。
これには理由があって、ナイロン、フロロカーボン、PEで長さあたりの重量を比べた場合、
PE<ナイロン<フロロカーボン
となるのは皆さんもよくご存じのことでしょう。
では、実際に糸の種類によってどのくらい差があるのでしょうか?
糸の単位長当たりの重さを表す単位に「デニール値」と言うのがありますが、簡単に言うと9000m当たりの重量で、釣り糸に関してはナイロンは220、フロロカーボンでは340と言う値になります。ちなみに、PEは180ですので、一番軽いことがお分かりいただけると思います。
糸の号数はこれを基準に9000m当たり220gになるのがナイロン1号、以下340gがフロロカーボン1号、180gがPE1号となるようです。
この値を利用すると、各糸の100m当たりの重量を出すこともできます。
ナイロン:2.44g
フロロ:3.78g
PE:2.00g
こうしてみると、PEはナイロンに比べ2割ほど軽く、フロロに比べ半分近い重量になることがわかります。
ということは、スプールの重量を全く無視した場合、フロロカーボンはPEに比べ動き出しと制動に2倍の力が必要になります。
以前も少し書きましたけど、遠心ブレーキの制動力はスプールの回転速度の二乗に比例します。
このことから、スプールがまわり続けようとする力も回転速度の二乗に比例し、さらに質量に比例してきます。
ここで、質量はスプールと巻き糸の合計ですので、スプールのカスタマイズをしなければ糸の種類によって制動力や慣性力に違いが出てくるのがわかると思います。
さらに、質量の大きいものは動き出しにも大きな力が必要になり、スプールの立ち上がりレスポンスに影響を及ぼします。
つまり、重たいスプールは動き出しのレスポンスが悪くブレーキをかけても止まりにくい訳で、冒頭の「スプールは軽いに越したことはない」という結論に至るわけです。
次に、太糸と細糸で比べた時、隣り合う糸の隙間は太い糸ほど大きくなります。
これは、あくまで糸の断面が円であると仮定した上での話で、PEなどはテンションをかけて巻きますので断面はつぶれてきます。
それでも細糸に比べれば太糸の方が隣り合う隙間は大きくなりますから、下巻に使う糸の量は減らせるはずです。
こうして、下巻に太いPEを使うことでスプール重量を減らすことができ、レスポンスの良いスプールでバックラッシュの頻度を少なくすることができます。
まあ、実際には普段使うリールのスプール重量は15~20g程度ですので、動き出しや制動に必要な力の差も1~2割程度の差になってくると思いますけど。
ところで、スピニングリールのスプールは普段回転することがありませんが、ドラグが出されるときはベイトキャスティングリール同様回転しますので、このスプール重量の差は瞬間的なドラグの滑り出しに影響するものと思われます。
特に最近のスピニングリールは極力細いラインを使う釣りが流行っていますので、ドラグ性能に加え、スプール重量の軽いスピニングと使うことが一瞬のテンションに対応するために必要になってくるのかもしれませんね。
以上のことから、スピニングにせよベイトキャスティングにせよ下巻が必要な場合は出来る限り太いPEを使うとトラブルを少なくすることができる可能性があるわけです。
たぶん(笑)
妄想ついでに、ベイトキャスティングリールのスプール径と飛距離の関係についても後日検討してみたいと思います(爆)